口腔機能発達不全症とは|食べる・話す・呼吸するの育ちを診る

お子さんの食べ方・話し方・呼吸の仕方が気になっても、「そのうち慣れる」と様子を見ることが多いと思います。年齢に対して口の機能が十分に育っていない状態は「口腔機能発達不全症」として位置づけられており、健康保険の範囲で検査と管理を受けられます。
この記事の要点
- 食べる・話す・呼吸する機能の育ちが年齢に追いついていない状態です
- 健康保険が適用されます。検査・管理・指導を保険の範囲で受けられます
- 対象は15歳未満。早い時期ほど習慣が固定する前に働きかけられます
- 中心はご家庭での毎日の練習。通院は1か月に1回程度が目安です
- 歯並び・いびきと背景が重なることがあります
口腔機能発達不全症とは
口腔機能発達不全症は、食べる・話す・呼吸するといった口の働きが、年齢に対して十分に育っていない状態を指します。病気というより、育ちの途中でつまずいている状態と考えていただくとわかりやすいと思います。
お口の機能は、生まれてから自然に完成するものではありません。母乳や離乳食の食べ方、噛む経験、鼻で呼吸できているかといった積み重ねのうえに育ちます。どこかでつまずくと、次の段階に進みにくくなります。
| 領域 | 育っていない場合にみられること |
|---|---|
| 食べる | よく噛まずに飲み込む/音を立てて食べる/食事に時間がかかる/偏食が強い/こぼしやすい |
| 話す | サ行・タ行など特定の音が不明瞭/舌足らずに聞こえる |
| 呼吸する | 口がいつも開いている/いびきをかく/朝に口や喉が乾いている |
| その他 | 指しゃぶりが続いている/舌を前に出す癖がある/唇が閉じにくい |
なぜ早めに診ておくのか
お口の機能は毎日繰り返される動作です。飲み込みは1日に何百回も行われます。そのため、癖のある使い方が続くと、少しずつ影響が積み重なります。
- 歯並び — 舌が低い位置にあると上顎の広がり方に影響し、飲み込むときに舌で前歯を押す癖は前歯の傾きに影響することがあります
- 呼吸 — 口が開いた状態が続くと、唇が歯を押さえる力が働きにくくなります。口の中が乾き、むし歯・歯肉炎のリスクも上がります
- 睡眠 — 気道が狭い状態は、いびきや睡眠の質に関わることがあります
年齢が上がるほど、習慣は固定していきます。顎が成長している時期であれば、成長の方向に働きかけられる余地があります。「気になった時点で一度確認する」ことに意味があるのは、この時間の要素があるためです。
歯並びとの関係は 口呼吸が歯並びに与える影響、いびきとの関係は 子どものいびきは放っておいてよいのか をご覧ください。
受診されたときに確認すること
問診とお口の中の確認に加えて、機能そのものを確認します。お子さんに何かをしてもらいながら、できている範囲を見ていきます。
| 確認すること | 見ている点 |
|---|---|
| 舌の位置と動き | 安静時に舌が上顎についているか。持ち上げる・はじく動きができるか |
| 飲み込み方 | 飲み込むときに舌が前に出ていないか、口のまわりに余分な力が入っていないか |
| 唇の力 | 唇を閉じて保てるか。口が開いた状態が普段から続いていないか |
| 噛む動き | 左右均等に噛めているか。食べ物の大きさに合わせて噛めているか |
| 呼吸 | 鼻で呼吸できているか。鼻づまりの有無 |
| 歯の生え替わり・歯並び | 年齢に対する生え替わりの進み方、噛み合わせの状態 |
健康保険が適用されます
口腔機能発達不全症としての検査・管理・指導は、健康保険が適用されます。窓口でのお支払いは健康保険の自己負担分となります。対象は15歳未満です。
「まだ治療をするか決めていない」「まず何が起きているのかを知りたい」という段階でご相談いただけます。装置を使う治療を前提とするものではありません。
| 内容 | 保険の扱い |
|---|---|
| 口腔機能の検査・評価 | 健康保険が適用されます |
| 管理計画の作成とご説明 | 健康保険が適用されます |
| MFT(口腔筋機能療法)の指導 | 健康保険が適用されます |
| 矯正装置を使う治療 | 原則として自由診療です(一部の先天性疾患等を除く) |
装置を使う治療をご提案する場合は、内容と費用を診察の際にご説明したうえで進めます。取り扱いの一覧は 小児歯科 をご覧ください。
通院の間隔と期間の目安
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 検査 | 舌の位置、飲み込み方、唇の力、噛む動き、呼吸の状態を確認します |
| 2. ご説明 | いまの状態と、行っていただく練習をご案内します |
| 3. ご家庭での練習 | 1回あたり数分の内容を毎日続けていただきます |
| 4. 経過の確認 | 1か月に1回程度ご来院いただき、できているかを確認して次の内容に進みます |
期間はおおむね6か月〜1年程度が目安で、通院回数は6〜12回程度が目安です。年齢、状態、続けられた度合いによって異なります。
結果を左右するのは通院の回数ではなく、毎日の練習が続くかどうかです。月に一度長く行うより、短くても毎日続けることが結果につながります。保護者の方の声かけが助けになります。
※ 記載の期間・回数・費用は目安です。お口の状態や全身の状態により異なり、実際の治療方針は診察のうえ判断いたします。
注意点
口腔機能への対応に関する注意点
- 毎日の練習を続けられるかどうかで結果が変わります。通院時の指導だけでは効果が得られません
- 効果があらわれるまでに時間がかかり、その程度には個人差があります
- 鼻づまりなど鼻の疾患が背景にある場合、耳鼻咽喉科での治療を先にご案内することがあります
- すでに生じている歯並びの乱れそのものを、トレーニングだけで整えられるわけではありません
- 慣れないうちは、舌や口まわりに疲れを感じることがあります
- 年齢や状態によっては適応とならない場合があります。実際の方針は診察のうえ判断いたします
よくあるご質問
- 口腔機能発達不全症に健康保険は使えますか?
- はい。口腔機能発達不全症としての検査・管理・指導は健康保険が適用されます。対象は15歳未満です。窓口でのお支払いは健康保険の自己負担分となります。一方、矯正装置を使う治療は原則として自由診療です。
- 何歳から相談できますか?
- 対象は15歳未満です。年齢が上がるほど口の使い方の習慣は固定していくため、気になった時点でのご相談をおすすめします。ただし練習の内容を理解して取り組めることが前提になるため、年齢とお子さんの状態に合わせて内容を調整します。
- うちの子は口がいつも開いているだけですが、受診の対象になりますか?
- 口がいつも開いている状態は、確認する項目の一つです。ただし一つ当てはまるだけで該当するわけではなく、食べる・話す・呼吸するの複数にわたって年齢相応でない場合に、検査のうえ判断します。鼻づまりが背景にある場合は耳鼻咽喉科の受診を先にご案内することがあります。
出典
※ 本記事の掲載内容は一般的な情報です。症状や適応には個人差があり、実際の治療方針は診察のうえ判断いたします。費用は2026-07-31時点の税込金額です。
※ 点検日(2026-07-31)は、監修者が記事内容を点検した最新の日付です。内容に実質的な変更があった場合は最終更新日を更新します。
「癖かもしれない」という段階でもご相談いただけます。まずいまの状態の確認からお受けします。
- 所在地
- 〒158-0093 東京都世田谷区上野毛1-25-10
- 電話番号
- 03-3701-0550
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